CPIとWebARENA SuiteX、企業やWEB制作会社・開発者に人気のレンタルサーバーを徹底比較

今回はビジネス向けレンタルサーバーとして高い人気を誇るレンタルサーバー、CPIWebARENA SuiteXを比較してみたいと思います。

それぞれ、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ、株式会社NTTPCコミュニケーションズという通信大手グループ企業が提供するレンタルサーバーという事で、有名企業での採用例も多く、若干費用は高くても安定性や信頼性を重視したいというビジネス分野でのニーズに応える内容となっています。

ネームバリューの高さからクライアント受けが良いことから、WEB制作会社での採用例も多いという2社。今回は利用しやすい価格帯の共用サーバーを中心に比較していきます。

初期費用と月額料金

最初はCPIとWebARENA SuiteXの価格の比較から。

[初期費用]

CPI WebARENA SuiteX
初期費用 0円 0円

CPI、WebARENA SuiteXともに初期費用は0円となっています。

但し、CPIは12ヶ月契約時のみ0円であり、12ヶ月契約以外の場合は20,000円となっています。共用サーバーにおいて初期費用20,000円は決して安い金額ではありませんので、CPIで契約する場合は12ヶ月単位と考えてしまった方が良いかもしれませんね。

また、WebARENA SuiteXはクレジットカード払いのみ0円で、請求書・口座振替の場合は3,000円となっています。会社で契約する際にはクレジットカード払いが難しいケースも多いと思いますので、この点は注意してください。

[月額費用]

CPI WebARENA SuiteX
3ヶ月 4,400円
6ヶ月 4,100円
1年 3,800円 1,361円

一ヶ月あたりの月額費用はCPIが3,800円~、WebARENA SuiteXが1,361円~となっています。
価格だけを単純に比較してしまうとCPIが高い印象を受けますが、CPIはWEB容量やマルチドメインが無制限であったりとWebARENA SuiteXとは若干スペックや機能が異なりますので単純比較することは出来ません。スペックや機能の違いは後ほど詳しく比較してみたいと思います。

容量・転送量・マルチドメイン

次にWEB容量と転送量の比較です。

[容量・転送量]

CPI WebARENA SuiteX
容量 無制限 300GB
転送量 無制限 無制限

データ転送量はCPI、WebARENA SuiteXともに無制限となっています。しかし、無制限と言っても文字通り無制限という事ではありません。データ転送量についてはそれぞれ次のようにFAQに書かれています。

CPI

データ転送量による課金はございません。また、基本的には転送量の制限は設けておりませんが、転送量の増加によって高負荷が発生し弊社ネットワークやご利用されているサーバー全体に影響が発生している場合は弊社にて制限をかけさせていただく場合がございます。

WebARENA SuiteX

転送量の制限はありません。また、転送量によってご利用料金が変わることもございません。 ただし、転送量が著しく多くサーバー全体の動作に支障を来してしまう場合は、 ご利用状況について個別にご相談させて頂く場合がございます。

リソースには上限がありますので、なんらかの上限が存在するのは当たり前だと思いますが、その上限の目安を公表せずに「無制限」としてしまっている点を不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
通常のサイト運営ではまず問題にならないことを前提に「無制限」となっているものと思いますが、やや特殊な使い方を想定している方、超人気サイトの収容を検討している方は個別に相談してみるのも良いかもしれません。

データベース(MySQL)

[データベース数]

CPI WebARENA SuiteX
MySQL 無制限 3個

次にWordpressなどで利用できるデータベース(MySQL)の数の比較ですが、CPIが無制限、WebARENA SuiteXが3つとなっています。ちなみにCPIはMySQLだけでなくPostgreSQLも利用可能。こちらは1個のみとなっています。
WebARENA SuiteXの設定可能数3はやや寂しい気もしますが、一般的なWEBサイトであれば3つあれば十分と考えることも出来るかもしれません。WebARENA SuiteXでは設定可能数を無制限とする有料オプションも用意されていますが、こちらは月額2,000円となっており、レンタルサーバーを上回る価格設定となっています。

高速処理機能

次にWEBサイトのレスポンスに差が出る高速処理機能について比較します。

[機能]

CPI WebARENA SuiteX
ストレージ 記載無 記載無
PHP CGI版
(suPHP環境)
CGI版・モジュール版
両方に対応

CPI、WebARENA SuiteXともに他のレンタルサーバーと比較すると、処理の高速化に関する内容をあまり前面に押し出していない印象があります。処理速度・実行速度を極めることよりも、安定性や堅牢性に関する記述が多いのはビジネスサーバーならではと言ったところでしょうか。
PHPに関してはWebARENA SuiteXがモジュール版に対応していますので、PHPの実装速度にこだわりたいという方はWebARENA SuiteXという事になりますでしょうか。

データのバックアップ体制

データバックアップ体制の比較です。CPI、WebARENA SuiteXともに標準機能として自動バックアップが提供されていますが、内容は大きく異なります。

[標準バックアップ]

CPI

  • 標準装備機能SmartReleaseで自動バックアップ
  • 毎日深夜にバックアップを取得
  • WEB領域30世代、データベース10世代まで管理
  • SmartReleaseにはファイルの総容量10GBなど制限事項あり
  • SmartRelease以外の有料バックアップオプションあり

WebARENA SuiteX

  • 1日1回1世代バックアップ
  • 設備故障に備えたものでユーザー側では管理できない
  • バックアップオプションあり※

標準機能としてもデータバックアップは、CPIがユーザーが直接管理するタイプなのに対して、WebARENA SuiteXは設備故障に備えたものでユーザーによる直接管理はできないタイプとなっています。

※WebARENA SuiteXではバックアップオプションが用意されており、その1世代対応版は0円で利用できるようになっていますので、ユーザーが直接管理したい場合はこちらの機能を利用することも出来ます。

上記の内容で不十分という方向けには、CPI、WebARENA SuiteXともに有料バックアップオプションが用意されています。その内容は次の通り。

[有料OPバックアップ]

CPI「外部バックアップサービス」

  • 3日に1回自動バックアップ
  • 最大9日前までのデータ復旧が可能
  • データは任意のタイミングでFTPで取得可能
  • 初期費用5,000円
  • 月額費用2,000円~(20GB~2TB)

WebARENA SuiteX「データバックアップ」

  • 容量無制限の外部ストレージにバックアップ
  • 3世代又は7世代の管理が可能
  • コントロールパネルで設定を行い、自動バックアップ
  • 初期費用0円
  • 月額費用1,500円~(3世代~7世代)

こうして比較してみると同じバックアップ機能でも内容が大きく異なることがわかります。用途に応じてどちらのサービスが適切かじっくり検討してみてください。

【セキュリティ】

次にCPIとWebARENA SuiteXのセキュリティ面を比較していきます。

[SSL証明書]

CPI WebARENA SuiteX
無料版
有料版 37,000 円~
CPI SSL
シマンテック
セコム
ジオトラスト
34,800円+8,000円~
DigiCert
GlobalSign
持込み 設定手数料8,000円

両社ともビジネス向けレンタルサーバーという事もあり無料のSSL証明書Let’s Encryptに関する記述はありませんでした。

有料のSSL証明書では、CPIは4社5種類のSSL証明書が選択可能となっており、最も安価なSSL証明書はCPI SSLの年額37,000円となっています。

WebARENA SuiteXは2社5種類のSSL証明書が選択可能となっており、最も安価なSSL証明書はGlobalSignのクイック認証SSLで年額34,800円ですが、これに設定手数料が8,000円加わります。

SSL証明書に関しては、CPIとWebARENA SuiteXで重複するものはありませんので、SSL証明書のブランドや機能にこだわりたい方は両者をよく比較してみてください。

なお、WebARENA SuiteXでは自身で手配したSSL証明書をWebARENA SuiteXに導入することも出来るようです。その際の設定手数料はが8,000円。詳しい手順はWEBサイトでも説明がありますので、興味がある方は事前に確認しておきましょう。

[アンチウィルス]

CPI WebARENA SuiteX
メール IronPort Symantec

メールのウィルスチェック機能は、CPIがIronPort社のサービス、WebARENA SuiteXがSymantec社のサービスを採用しています。

[その他]

上記以外のセキュリティに関する機能は次の通り。

CPI

  • WAF(Webアプリケーションファイアウォール)標準装備
    株式会社ジェイピー・セキュアのSiteGuard Liteを採用。
  • マルウェア診断
    マルウェアや不正な改ざんの有無を診断するサービスで初期費用3,000円、月額費用3,000円~(100ページ~)となっています。

WebARENA SuiteX

  • ファイアウォール、IPS(不正侵入防止システム)
    Web改ざん検知サービス
  • Webサイトの改ざんの有無を定期的に確認。5ページまで0円。6ページ以上は初期費用2,000円、月額2,000円~。
  • Webセキュリティ診断(NTT東日本)
    NTT東日本提供のサービス。改ざん検出、脆弱性診断を行う。1URLにつき月額5,000円。

セキュリティに関してはあまり差が無いようにも見えますが、CPIは・WAF(Webアプリケーションファイアウォール)が標準装備となっています。CMSや独自開発のプログラムを採用しているケースでは嬉しい機能と言えるのではないでしょうか。

安定性

次に安定性に関する両社の取り組みを比較してみたいと思います。

[サービス品質保証制度]

CPI WebARENA SuiteX
保証値 100% 100%

CPI、WebARENA SuiteXともに「サービス品質保証制度(SLA)」をを実施しています。SLAは2008年1月に経済産業省から発表されたSaaS向けSLAガイドラインに準じたサービス品質を保証するものです。具体的には、設定された稼働率保証値を下回った場合、予め定められた金額が返金されるというものです。

レンタルサーバーでSLAを実施しているのは、まだ一部のサービスに限られているのが現状ですが、CPIとWebARENA SuiteXはSLAを実施するだけでなく、その稼働率保証値は100%となっています。つまり、稼働率(1ヶ月)が100%を下回った場合、何らかの返金が受けられることになります。

様々な機能や要素が絡み合うレンタルサーバーの稼働率保証値を100%とすることは容易な事ではない筈ですので、両社ともにそれだけ安定性の確保には真摯に取り組んでいると考えて良いのではないでしょうか。

サポート

ビジネス向けのレンタルサーバーという事でサポートも重要な要素ですね。ここではCPIとWebARENA SuiteXのサポート体制を比較してみます。

[サポート体制]

CPI WebARENA SuiteX
電話 平日 10:00~18:00
フリーダイヤル
平日 9:30~17:30
ナビダイヤル
メール 平日 10:00~18:00 平日 9:30~17:30
チャット 平日 9:30~17:30
有料OP 電話・メール
365日24時間対応
月額900円

両社のサポート体制は一見似ていますが、それぞれ幾つか独自のサービスが用意されています。

CPIでは初心者向けの「はじめて電話サポート」と技術的な質問が出来る「まかせてメールサポート」というサポートが標準で用意されています。後者は営業時間内(10:00~18:00)に受けた質問は当日中に返信すると謳っています。

そして特徴的なのが「24時間365日TEL&メールサポート」というサービス。こちらは月額900円の有料オプションとなってしまいますが、専用の電話回線とメールアドレスで24時間365日対応してくれます。積極的にサポートを利用したい方や土日深夜のサポートが必要な方、混雑を避けたいという方は検討してみては如何でしょうか。

WebARENA SuiteXは標準的なサポート内容となっていますが、電話とメールに加えてチャットによる問い合わせも可能となっています。電話では伝えにくい内容(長いURLなど)だけど、メールよりも速く返事が欲しいというケースでは重宝するのではないでしょうか。

運営会社

レンタルサーバー事業の継続性、信頼性という点からCPI、WebARENA SuiteXの運営会社の概要も比較しておきます。

[会社概要]

CPI WebARENA SuiteX
社名 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 株式会社NTTPCコミュニケーションズ
設立 1987年2月25日 1985年9月4日
事業開始 1997年8月 1997年3月
資本金 6,500万円 40億円

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズはかつてはServision株式会社、株式会社CPIという社名でしたが、2007年にKDDI株式会社の連結子会社となり、その後株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズに変更となっています。

株式会社NTTPCコミュニケーションズは古くからインターネット接続サービス「InfoSphere」なども提供していますのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

どちらも非上場企業ですが、レンタルサーバーを提供する企業としては十分な規模と実績があると言えるのではないでしょうか。

キャンペーン

ここでCPIとWebARENA SuiteXが実施してきたキャンペーンの傾向を比較してみたいと思います。

CPI

キャンペーンの実施時期は不定期でその都度キャンペーン内容も異なる為、特定のキャンペーンを狙って契約のタイミングを計るのは難しいと考えられます。必要な時に契約する、契約する際に何らのキャンペーンが実施されていればラッキーというスタンスで良いのではないでしょうか。

WebARENA SuiteX

ここ数年の傾向としては、年に1回春期にキャンペーンを実施しています。内容としては初期費用無料+月額料金2~3ヶ月無料といった内容となっており、なかなかお得なキャンペーン内容となっています。毎年実施される保証はありませんが、契約を検討している方で時間的に余裕がある方は春のキャンペーン時期を待ってみるのも良いかもしれません。

キャンペーン内容の比較という点ではWebARENA SuiteXの方が魅力的に感じますが、実施されるのが1年に1度程度ですので、スケジュールが決まっている方にとっては両社とも狙って利用できるものでは無いのかもしれませんね。

注目機能・サービス

ここまで共通の項目を挙げてCPIとWebARENA SuiteXの比較をしてきましたが、ここではそれぞれの特徴的な機能やサービスをご紹介します。

CPI

CPIならではの機能としては次世代サーバーツール「SmartRelease」が挙げられます。他社のレンタルサーバーでは扱いが無いCPI独自の機能ですので、SmartReleaseを利用したい方はCPIを選択するしかありません。

SmartReleaseには様々な機能がありますが、非常に便利な機能としてはテストサイト機能が挙げられます。SmartReleaseでは公開サイトと同じ環境のテストサイト環境が用意されていますので、別途テスト環境を作ることなく開発準備が行えます。そして、テスト環境で制作した内容を公開する際には「リリース」ボタンを押すだけで、公開サイトへファイルが転送されますので、手間無く確実に「テスト→公開」というフローを完了させることが出来ます。しかも、最大30世代の自動バックアップ機能も搭載していますので、万一の時でも安心です。

WEB制作会社の採用例が多いのは、KDDIのネームバリューだけでなく、制作→テスト→公開→バックアップというフローがシステムとして確立されている「SmartRelease」の存在が大きいのではないでしょうか。

WebARENA SuiteX

WebARENA SuiteXはCPIと比較すると目立った独自機能といったものはありませんが、同社では「名づけてねっと」というドメイン取得サービスも提供していますので、CPIと比較すると取得できる独自ドメインの種類が多く、連携やセット割引も用意されています。ドメイン自体はどこで取得しても組み合わせて使えるものではありますが、信頼のNTTグループで取得して管理していきたいという方はセットで利用してみては如何でしょうか。

無料体験期間

CPIとWebARENA SuiteX。両方とも実際に使って比較してから契約したいという方もいらっしゃると思います。ここでは無料体験期間をチェックしておきます。

[無料お試し期間]

CPI WebARENA SuiteX
無料期間 10日間

CPIでは10日間の無料お試し期間が用意されていますが、WebARENA SuiteXは無料期間の設定がありません。CPIは無料お試し期間中であっても契約時と同等の電話・メールサポートが提供され、サーバーのレスポンスなども確認することが出来ます。本契約時はそのまま契約サーバーとして使えますので再設定や再構築の必要もありません。試してから本契約したいという方はCPIの無料お試しを利用してみてください。

口コミ・評判

最後に当サイトにおけるCPIとWebARENA SuiteXの口コミ・評判の総合スコアを比較しておきます。

[口コミ・評判]

CPI WebARENA SuiteX
総合評価 3.10 / 5.0 3.18 / 5.0

CPI、WebARENA SuiteXともに長期間に渡って3点台をキープしており、総合的な評価は高いと考えることが出来ます。CPIに関しては月額費用がやや高めであることもあり、辛口の評価をされる方もいらっしゃいますが、安定性や「SmartRelease」をはじめとする独自機能は当サイトに限らず高く評価されているようです。

CPIとWebARENA SuiteXの比較のまとめ

CPIとWebARENA SuiteXの主な特徴を比較してきましたが、如何でしたでしょうか?KDDIグループ系vsNTTグループ系レンタルサーバーという事でこの2社の比較となりましたが、価格帯や機能という点では異なっている点も多いので、用途やご予算に応じてじっくりと検討してみてください。

ざっくりと分類するのではあれば、WEB制作会社やWEB開発を代行しているフリーランスの方など制作や開発に従事されている方は開発・テスト・バックアップ環境が充実しているCPIを。中小規模の標準的なCMS・WordPress採用サイトを運営していくという方はWebARENA SuiteXといった具合になるのではないでしょうか。

CPI、WebARENA SuiteXと同様にビジネス用途で人気のレンタルサーバーを幾つかピックアップしておきます。これから検討するという方は合わせてご参照ください。

(比較)