一行書くだけで出来るドメイン変更・移行のリダイレクト処理とSearch Consoleの設定

WEBサイトやブログを長く運営していると、ドメインを変更する必要が出てきたり、格好良いドメインに変更したいと思うこともあるかと思います。
そんな時、どのような手順で新しいドメインに移行させれば良いのでしょうか?

単純に、新しいドメイン側にファイルをアップロードして、古いドメイン側のファイルを削除する。

これでは不十分です。
まず、Googleが新しいドメインサイトを新しいサイトとして認識してしまう可能性があります。この場合はこれまで得てきた旧ドメインサイトのSEO評価を全て捨て去る事になりますので、ドメイン変更による移行ではなくゼロからの出発となってしまいます。

次に考えら得るのは、Googleが新しいドメインサイトを旧ドメインサイトのコピーサイトとして認識してしまうケースです。こうなってしまうと新しいドメインサイトはスパムサイトとして扱われてしまい、検索エンジンからの評価・順位が落ちてしまいます。最悪の場合は圏外に飛ばされてしまい、事実上検索エンジンにヒットしないという状況に陥ることもあります。

そんなことにならないよう、今回はドメイン変更や引っ越しの際に行うべき2つの手続きについてご説明します。この2つの手続きを適切に行えば、新しいドメインに移行しても、トップページは勿論、各コンテンツページも検索エンジンの評価・順位を(ほぼ)落とす事無く、旧ドメインと同じように運用することが出来ます。

ドメイン変更・移行の手続きの流れ

ここではおおまかな作業の流れを確認しておきます。便宜上ここからは、従来のドメインサイト(引越元)を「サイトA」、新規ドメインサイト(引越先)を「サイトB」として説明を進めていきます。移転には様々なパターンがありますが、今回はサイトAとサイトBの内容(ドメイン以外の構成)が同一でドメインだけが変更になるケースを想定します。

1.  Google Search Consoleに登録する
サイトA、サイトB、両サイトともGoogle Search Consoleの登録が必要です。登録を行うことで、両サイトの所有権があなたにあることの証明になります。
Google Search Consoleの登録方法は指示された手順に従うだけなので、ここでは省略しますが、登録の際に指定ファイルを該当サイトにアップロードする等の手続きがあり、その手続きで所有権を証明することになります。

2. サイトBを公開する
サイトBにファイルをアップロードする、又はWordpressなどのシステムのセットアップを行い、サイトBのWEBサイトを公開してください。

3. サイトAに対して.htaccessファイルを用いた301リダイレクトを設定する
旧サイト側に.htaccessファイルを作成し、301リダイレクトの設定を行います。301は「恒久的な移転」を意味するステータスコードで、このステータスコードをサーバーから返すことで、古いURLは無効で新しいURLに移行したことを宣言し、リダイレクトを行います。この301リダイレクトを設定した.htaccessファイルをサイトAに設置します。

4. Google Search Consoleでアドレス変更の手続きを行う
サイトAのGoogle Search Consoleでアドレス変更の手続きを行って移行作業は完了です。1~3.の手続きが完了していないと、この手続きを行う事ができませんので事前に作業しておいてください。

ここでは3.と4.の手続きについて詳しく見ていきます。

.htaccessファイルを用いて301リダイレクトを設定する

リダイレクトの方法は幾つかありますが、簡単で確実なのは.htaccessファイルを用いたリダイレクト方法です。.htaccessファイルはテキストファイルですので、テキストエディタを開いて以下のように記述して保存してください。設置場所はサイトAのルートディレクトリ、public_htmlやhttpdocsなどに相当するディレクトリになります。

■作成するファイル
.htaccess (テキストファイル)

■記述する内容
Redirect permanent / サイトBのURL

■設置する場所
移転元サーバーの該当ドメインのルートディレクトリ
(トップページのindex.htmlと同じ階層)

.htaccessに記述するのは上記の一行のみです。例えば、サイトBのURLがhttp://www.site-b.com/の場合は

Redirect permanent / http://www.site-b.com/

と記述してサイトAに設置してください。

文字コードはUTF-8N(UTF-8 BOM無)を指定しておいた方が無難です。記述内容によっては他の文字コードでも構いませんが、サーバーエラーが発生する場合はこのあたりを疑ってください。UTF-8Nでもエラーが出る場合は、改行コードを「LF」とすることで改善できる場合もあります。

Windows付属のメモ帳では文字コードの設定ができません。メモ帳しか使ったことがない方は、今後も何かと必要になると思いますので、これを機に文字コードの設定ができるテキストエディタの導入を検討してみてください。TeraPadなど無料で提供されているテキストエディタもあります。

なお、windowsの場合はOSの仕様で.htaccessというファイル名ではファイルを新規保存することができません。一時的にh.htaccessなどの仮ファイル名で保存を行い、FTPサーバー上にアップロードした後、.htaccessにリネームしてください。

WordPress等のシステムを利用していて、既に.htaccessが存在する場合は、その.htaccessに上記の一行を書き加えてください。作業を行う前に必ず既存の.htaccessファイルのバックアップを取っておきましょう。

サイトA上で上記の設定を終えると、サイト全体が301リダイレクトでサイトBに転送されます。例えば、

http://www.site-a.com/
http://www.site-a.com/xyz/
http://www.site-a.com/opq/rst.html

にアクセスすると、それぞれ

http://www.site-b.com/
http://www.site-b.com/xyz/
http://www.site-b.com/opq/rst.html

に自動転送されます。念のためにサイトAの幾つかのURLにアクセスしてサイトBにリダイレクトされることを確認してみてください。検索エンジンから確認したい場合は検索窓に

site:ドメイン名(FQDN)

と入力して検索することで確認できます。サイトAの場合は

site:www.site-a.com

ですね。

トップページは勿論、コンテンツページも全てサイトB上のURLに引き継がれますので、他のサイトからリンクされている記事ページや過去の印刷物にサイトAのURLが記載されているケースでも閲覧者をサイトAの該当ページに誘導できます。また、既存ページの検索エンジン上での順位や評価も基本的にそのまま引き継がれます。

Google Search Consoleでアドレス変更の手続きを行う

本来であれば、3.の301リダイレクトの設定だけでも大丈夫な筈ですが、Google Search Consoleには「アドレス変更」という専用機能が用意されています。ロボットの巡回だけでは、全てのページが反映されるのに膨大な時間が掛かる恐れがありますので、Googleに対してドメインの変更を正確且つ迅速に伝える為にも、是非この機能を活用しましょう。

作業はサイトAのGoogle Search Consoleで行います。

サイトAのダッシュボードで右上の設定アイコンを押してプルダウンメニューを表示させ「アドレス変更」を選択してください。

「このツールはサイトを新しいドメインに移行する場合に使用してください。」と書かれていると思います。最初の手順で移行先である新しいドメイン(サイトB)を選択してください。

次に301リダイレクトの設定が正しく行われていることを確認します。.htaccessファイルで正しく301リダイレクトの設定が出来ていれば確認を行って手続きを進めることが出来ます。同様に、サイトA、サイトBともにきちんと存在していることを確認してください。最後にサイトAからサイトBに移行しても大丈夫か確認。問題がなければ、送信ボタンを押してアドレス変更手続きを確定してください。

以上で作業は完了です。移行はすぐに行われるわけではなく、ある程度日数を掛けて行われるようです。リクエストの取り消しも用意されていますので、もし間違った、気が変わったという場合は早めに取り消し処理を行ってください。

301リダイレクトとGoogle Search Console「アドレス変更」で確実な移行を

面倒な方は3.の.htaccessを用いた301リダイレクトだけでも大丈夫だと思いますが、出来るだけGoogle Search Consoleの「URL変更」でも手続きしておいた方が安心です。

Google Search Consoleの「アドレス変更」自体、301リダイレクトの設定が行われていないと手続きを完了させることができません。つまり、Googleは301リダイレクトと併用することを前提にこの機能を提供していますので、「URL変更」で設定するべき何らかの理由、メリットがある筈です。設定自体は簡単なので是非活用してみてください。

(SEO)